女の子っぽい男の子を治療しようとした結果


medium_6869336880

via photopin cc

昔、同性愛は治療の対象とされていました。

同性愛を治療しようとした試みはいくつかあります。
その中でも興味深いのは、アメリカで行われた「女っぽい」男の子に対する治療の試みです。

結論からいうとこの試みは失敗に終わり、最悪の結果にいたっています。



カイルという女の子っぽい男の子

この治療の対象となったのはカイルと呼ばれる男の子でした。

カイルは2歳の頃からお人形遊びに強い興味を示していました。
4歳になった頃には、「僕は女の子になりたい」「大きくなったらお母さんになる」と言っていたそうです。

彼の母親は彼の将来を心配し、カリフォルニア大学の精神科医リチャード・グリーンのもとを訪れました。

 

女の子っぽい男の子はゲイになる

リチャード・グリーンらの研究によると、ゲイ男性は幼少期に人形遊びを好むなど、女の子っぽい子どもだった傾向が多いそうです。

そして、そういう子どもの8割は将来ゲイになるという研究結果を発表しています。

カイルの母親もテレビでこのような情報を知り、心配になってリチャード・グリーンのもとを訪れたのです。

 

行動療法

カイルはカリフォルニア大学の同性愛矯正プログラムに参加するようになりました。

そのプログラムは、彼が男らしい振る舞いをしたら青いシールを、女の子っぽい振る舞いをしたら赤いシールを与えられるというものでした。
(それは両親の協力のもと、家庭でも行われました)

青いシールがたまるとカイルはお菓子やご褒美が与えられました。
逆に赤いシールがたまると、閉じ込められたり、おしりを叩かれたりしました。

これは心理学でいう『オペラント条件付け』というものです。
ご褒美によって行動を強化し、罰によって行動を弱化することができる、という理論です。

この理論に基づいて行われる心理療法を『行動療法』といいます。

 

治療成功?

このプログラムの結果、8歳までに彼の女の子っぽさは完全に消失した、とリチャード・グリーンは発表しました。

そして、15歳の頃には他の10代の少年と区別がつかないほど、『正常な』男らしい役割を身につけた、と。
母親も彼が『正常な』男の子になれたと実感しており、リチャード・グリーンに対して感謝を述べています。

 

治療失敗

しかし、18歳の時にリチャード・グリーンがカイルに行ったインタビューによって、彼の治療は全くの失敗に終わっていたことがあきらかになります。

カイルは「自分は同性愛者である」と、リチャードにカミングアウトしたのです。

そして、
「女の子っぽさが出てしまうのが怖くて、友だちをつくるのが怖い」
「トイレでハッテン行為をしたことがある」とも。

その後、彼は罪悪感にさいなまれ、自殺を試みました。

 

行動療法の失敗

リチャードの調査によると、行動療法によって「女の子っぽさ」を矯正しようとした子ども12人のうち、9人が、その後、ゲイかバイになったそうです。

つまり、「女の子っぽい」男の子はゲイになる可能性が高い。
それは表面的には矯正できますが、根本的な意味での治療は不可能、ということです。


2016年8月より、当ブログの運営・執筆はLGBTサークル『CBM』に移管されました。

当ブログについて説明はこちらをお読みください。